Cat Lifestyle Magazine by Nekonogeboku
グッズの選び方公開

猫用ベッドの選び方。獣医師の国際ガイドラインに学ぶ、使ってくれる形と置き場所

猫用ベッドを買ったのに使ってくれない、どれを選べばいいか迷う方へ。猫が安心して眠れる寝床の条件を、米国猫獣医師協会と国際猫医学会のガイドラインや研究をもとに、形・素材・置き場所・数の目安に分けてまとめました。

白いペット用ベッドの中で丸くなって眠る茶トラの猫

せっかく猫用ベッドを買ったのに、猫は見向きもせず、届いた段ボール箱の中で寝ている。猫と暮らす人なら、一度はそんな経験があるのではないでしょうか。

猫がどこで眠りたいかには、ちゃんと理由があります。この記事では、米国猫獣医師協会(AAFP)と国際猫医学会(ISFM)の「猫の環境ニーズに関するガイドライン」(2013 年)や、保護猫の研究をもとに、猫が使ってくれるベッドの選び方と置き場所のコツをまとめます(出典は記事の最後に一覧にしています)。

猫が安心して眠れる寝床の条件

ガイドラインは、猫の暮らしに欠かせない柱の1つめに「安全な場所」を挙げています。猫にとっての安全な場所とは、プライベートで守られた空間で、高い位置にあることが多いもの。囲まれている・ひとりになれる・隠れられる、という感覚があることが大切だとしています。

猫は群れで暮らすこともできますが、狩りはひとりで行う動物です。けがは生き残るうえで大きな危険になるため、猫は怖いものに立ち向かうより「避けて、逃げる」ことを選びます。だからこそ、いざというときに引きこもれる場所があると安心できるのです。ガイドラインは、猫がくつろいでいるときには、この安全な場所がそのまま休む場所・眠る場所にもなると説明しています。

条件 理由 ベッド選びでは
囲まれている 脅威が見えないと、体が全部隠れていなくても安心する(ガイドライン) ドーム型、ふちの高いカップ型
少し高い 周りを見張れて、落ち着ける 棚の上、キャットタワーの上段
静か 知らない音やにおいを、猫は脅威として感じ取る 人の通り道や家電から離す
暖かい 猫が快適に過ごせる温度は人より高め 秋冬は保温性のある素材、日だまり

「箱が好き」には根拠がある

オランダ・ユトレヒト大学のグループは、保護施設に来たばかりの猫19匹を「隠れ箱あり」と「なし」に分けて、ストレスの様子を14日間観察しました(Vinke ほか、2014 年、学術誌『Applied Animal Behaviour Science』)。箱のある猫は3〜4日目のストレスの点数がはっきり低く、なしの猫が14日かけてたどり着いた落ち着きに、3日ほどで届いていました。

保護施設という特別な環境での小さな研究ですが、「隠れられる場所があると、新しい環境に早くなじみやすい」ことを示しています。新しいベッドより段ボール箱を選ぶ猫が多いのも、うなずけます。

猫は暖かい場所が好き

アイルランド獣医師会の専門誌の解説(Seavers、2023 年)によると、米国学術研究会議(NRC)は、猫が体温を保つのにエネルギーを使わずに済む温度の範囲(熱的中性圏)を30〜38℃としています。人(18〜25℃)よりずいぶん高めです。同じ解説は、暖房の効いた部屋でも、猫が安全にくつろげる特に暖かい場所を用意するよう勧めています。

窓辺の日だまりや、こたつの中が猫の定位置になるのはこのため。これからの季節は、ベッドを暖かい場所に置くだけで使ってくれることもあります。

形で選ぶ:寝相と季節に合わせて

猫用ベッドの形は、主に次の4つ。どれが正解ということはなく、その猫の寝相と季節に合わせて選ぶのが近道です。

形 向いている猫・季節 ポイント
ドーム型(ハウス型) 狭いところに潜るのが好き、怖がり、寒い季節 「囲まれている」安心感が最大。入口が見える向きに置く
カップ型(ふち付き) 丸くなって寝る、ふちにあごを乗せたい ふちが壁の役目をして、ほどよく囲まれる
マット・クッション型 体を伸ばして寝る、暑い季節 置き場所を選ばず、棚の上や窓辺にも置きやすい
窓辺・棚の上のベッド 外を眺めるのが好き、高いところが好き ガイドラインも、休む場所のひとつは外が見える場所にするよう勧めている

窓ガラスのそばで、灰色のクッションに座るシルバータビーの猫

ガイドラインは、高い場所の寝床について「猫が体を伸ばせる広さ」があり、真ん中がハンモックのようにくぼんでいると、隠れているような安心感が生まれると説明しています。カップ型やクッションを選ぶときも、真ん中がくぼんでいるものは猫が落ち着きやすいといえます。

素材は季節で使い分ける

  • 秋冬: ボアやフリースなど、ふんわり暖かい素材。ドーム型なら体温がこもりやすい
  • 春夏: 綿や麻、メッシュなど、熱がこもりにくい素材。ひんやりした床を選ぶ猫もいるので、無理にベッドに寝かせなくて大丈夫
  • 通年: カバーを外して洗えるものを選ぶと、清潔に使い続けられます

置き場所と数の目安

ベッドを使ってくれるかどうかは、形よりも置き場所で決まることも多いものです。ガイドラインが勧めるポイントを、家の中に置きかえるとこうなります。

  1. トイレ・ごはん・水から離す。ガイドラインは、トイレ・ごはん・水・遊ぶ場所・休む場所・爪とぎを、それぞれ別の場所に置くよう勧めています。特にトイレとほかの場所は、しっかり離しましょう
  2. 少なくとも2か所。猫が選べるように、休む場所は最低2か所、と示されています。ひとつは窓の外が見える場所にすると、外を眺めながらくつろげます
  3. 多頭飼いなら猫の数以上。隠れられる場所は、1匹ずつ入れる大きさのものを猫の数以上、離れた場所に。入口が2つあると、ほかの猫にふさがれにくくなります
  4. 静かで、人の気配がほどよくある場所。玄関や洗濯機の横など、急な音や人の出入りが多い場所は避けます

子猫・シニア猫には「低く、入りやすく」

ガイドラインは、子猫や動きが少なくなった猫には、箱や棚を低めに置くか、スロープで上り下りできるようにするよう勧めています。シニア猫には、ふちが低くまたがずに入れるベッドを、暖かい場所に。子猫は寒さに弱いので、寝床の暖かさに気を配りましょう。子猫の眠りについては「子猫の睡眠時間は1日何時間?」でまとめています。

使ってくれないときに試したいこと

ベッドを買い替える前に、次のことを試してみてください。

  • においをつける。ガイドラインは、慣れたにおいのために、猫自身の寝具や、家族のにおいがついた服を使うことを勧めています。いつも使っている毛布をベッドに入れてみましょう
  • 今寝ている場所の近くに置く。猫が自分で選んだ寝床は、その猫にとっての「好条件」がそろった場所です。そのすぐ横にベッドを置くと移ってくれることがあります
  • 箱と組み合わせる。段ボール箱の中にクッションを敷く、ベッドの上に箱を置いて屋根にするなど、「囲まれ感」を足してみる
  • 遊んだあとに誘う。思いきり遊んで、ごはんを食べたあとは眠くなる時間。そのタイミングでベッドのそばにおもちゃを置いてあげるのもひとつの方法です
長毛の猫が、赤い毛糸玉の前で身をかがめている
猫の下僕のおもちゃは、保護ねこカフェいちごでも使ってもらっています。
※撮影協力:一般社団法人楽生 保護ねこカフェいちご 大宮黒猫店

遊んで、食べて、眠るというリズムづくりは「室内猫の運動不足、どう解消する?」でも紹介しています。

爪とぎ兼ベッドという選び方

爪とぎの上でそのまま眠ってしまう猫もいます。爪とぎとお昼寝スペースを兼ねたものは、置き場所の少ないお部屋でも寝床をひとつ増やせる選択肢です。

猫の下僕の「世界の名画爪とぎ」シリーズ(自社商品です)は、ゴッホの名画を額縁に収めたデザインの爪とぎです。「星月夜」は爪とぎ・お昼寝ベッド・隠れ家の1台3役で、ボードは両面使えて交換もできます。「ケシ畑」は工具なしで組み立てられるハウス型。どちらも、囲まれて眠れる寝床として使えます。爪とぎ選びのポイントは「猫の爪とぎの選び方」で詳しく紹介しています。

まとめ

  • 猫が安心して眠れるのは、囲まれていて、少し高く、静かで暖かい場所
  • 形は寝相と季節で選ぶ。丸くなる猫や寒い季節はドーム型・カップ型、伸びて寝る猫や暑い季節はマット型
  • 休む場所は少なくとも2か所、トイレやごはんから離して。多頭飼いなら猫の数以上
  • 子猫・シニア猫には、低くて入りやすい寝床を暖かい場所に
  • 使ってくれないときは、においと置き場所を見直してから

寝床が整ったら、起きている時間はたっぷり遊んであげましょう。おもちゃの選び方は「猫のおもちゃの選び方 完全ガイド」にまとめています。

参考文献

よくある質問

猫用ベッドを使ってくれないのはなぜですか?

置き場所が落ち着かない(人の通り道・音のする家電の近く・トイレの近く)、新しいにおいが苦手、形が寝相に合っていない、などが考えられます。猫がふだん寝ている場所の近くに置き、猫のにおいがついた毛布を入れてみると、使ってくれることがあります。

猫用ベッドはいくつ用意すればいいですか?

米国猫獣医師協会と国際猫医学会のガイドラインは、休む場所を少なくとも2か所用意し、多頭飼いでは隠れられる場所を猫の数以上に用意するよう勧めています。全部をベッドにしなくても、箱や棚の上、爪とぎなど、猫が選べる寝床があれば大丈夫です。

猫用ベッドはドーム型とカップ型、どちらがいいですか?

狭いところに潜り込むのが好きな猫や寒い季節にはドーム型、体を伸ばして寝る猫やあちこち見渡したい猫にはカップ型やマット型が向いています。迷ったら、ふだんの寝相(丸くなるか、伸びて寝るか)を見て選ぶのがおすすめです。

シニア猫や子猫のベッドで気をつけることは?

ガイドラインは、子猫や動きが少なくなった猫には、箱や棚を低めに置くか、スロープで上り下りできるようにするよう勧めています。ふちが低く、段差をまたがずに入れるベッドを、暖かい場所に置いてあげましょう。

#猫用ベッド#寝床#グッズ選び#暮らし
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猫の下僕マガジン 編集部

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