猫が遊んで口呼吸するのは大丈夫?ハアハアの見分け方と遊びのやめ時
猫じゃらしで遊んでいたら、猫が口を開けてハアハアし始めた。そんなときに慌てないために、遊んだあとの口呼吸の見分け方、遊びのやめ時と上手な切り上げ方、受診を考えたいサインを、コーネル大学やMSD獣医マニュアル、論文をもとにまとめました。
猫じゃらしを振っていたら、猫が夢中で走り回ったあと、ぺたんと座って口を開けたままハアハア……。犬ならよく見る姿ですが、猫だと「大丈夫?」とドキッとしますよね。
この記事では、遊んだあとの口呼吸の見分け方と、遊びのやめ時、受診を考えたいサインを、コーネル大学猫健康センターやMSD獣医マニュアル、論文をもとにまとめます。治療や薬のことには触れず、おうちで気づくための目安に絞っています(出典は記事の最後に一覧にしています)。
遊んだあとのハアハア、心配はいる?
MSD獣医マニュアルの飼い主向けの解説は、呼吸器の病気のサインとして「速い呼吸」を挙げつつ、運動のあとの健康な動物のように、速い呼吸が必ずしも病気のサインとは限らないとも説明しています。思いきり走ったあとに息が速くなるのは、猫でも自然なことです。
一方で、コーネル大学猫健康センターは、呼吸が苦しい猫に見られる様子として、呼吸が目に見えて速くなる、口を開けて音を立ててハアハアする、頻繁にせきをすることを挙げています。つまり、口を開けたハアハアは「遊び疲れ」のこともあれば、「呼吸が苦しい」サインのこともある、ということです。
だからこそ、**見分けるポイントは「いつ」「どれくらい」**です。
| 様子 | 考えられること | どうする |
|---|---|---|
| 激しく遊んだ直後に口を開けるが、休ませるとすぐ落ち着く | 遊びで息が上がった | 遊びをやめて休ませる。次からは短めに |
| 休ませても落ち着かない、何度も繰り返す | 体に負担がかかっている可能性 | 早めに動物病院に相談 |
| 遊んでいないのに口で息をしている、苦しそう | 呼吸が苦しいサインのことがある | すぐに動物病院へ |
| 暑い部屋で、よだれ・ふらつき・ぐったり | 熱中症のことがある | 涼しい場所に移し、すぐ動物病院へ |
ハアハアし始めたら:その場でできること
- すぐに遊びをやめる。猫じゃらしを片付けて、追いかけたくなるものを視界から外します
- 静かで涼しい場所で休ませる。抱き上げたり追いかけたりせず、猫が自分で落ち着ける場所へ行けるようにします
- 呼吸と様子を見守る。口が閉じて、ゆったりした呼吸に戻るかを見ます。ぐったりしていないかも確認しましょう
- 落ち着かないときは動物病院へ。コーネル大学猫健康センターの獣医師は「動物が楽に呼吸できているか少しでも疑問があるときは、すぐに獣医師のもとへ」と呼びかけています。迷ったら、まず電話で相談しましょう
いつ・何分くらい遊んで・どれくらいで落ち着いたかをメモしておく、スマートフォンで動画を撮っておくと、病院で様子を伝えるときに役立ちます。
受診を考えたいサイン
次のような様子があるときは、遊びのせいだと決めつけず、動物病院に相談してください。
- 遊んでいないのに、口を開けて呼吸している。運動や暑さなどのきっかけがない口呼吸は、呼吸が苦しいサインのことがあります
- 休んでいる・眠っているのに呼吸が速い、お腹を大きく動かして息をしている
- せき、ゼーゼー・ヒューヒューという音。コーネル大学猫健康センターは、猫のぜんそくのサインとして、呼吸が苦しい様子、ゼーゼーする呼吸、速い呼吸、せき、口を開けた呼吸などを挙げています
- ぐったりして元気がない、遊びに乗ってこなくなった。コーネル大学猫健康センターによると、猫でいちばん多い心臓の病気(肥大型心筋症)は、見た目には元気な猫も多い一方、苦しそうな呼吸や速い呼吸、口を開けた呼吸、元気がないといった様子で気づかれることがあります
- 暑い部屋で、ハアハア・よだれ・ふらつき。MSD獣医マニュアルは、熱中症のサインとして、皮膚が熱い、吐く、よだれ、速いハアハア、苦しそうな様子、ふらつき、倒れる、意識がない、を挙げ、緊急事態としています。涼しい場所に移して、すぐに動物病院へ連れて行くよう勧めています
「呼吸が苦しそう」はどんな原因であっても急いで受診したいサインです。夜間でも、迷ったら救急に対応している動物病院に連絡しましょう。
ふだんの呼吸数を知っておくと安心
「呼吸が速い気がする」を確かめるのに役立つのが、眠っているときの呼吸数です。スウェーデン農業科学大学などのグループは、飼い主に自宅で猫の呼吸数を何度も数えてもらい、健康な猫と心臓に軽い異常のある猫を比べました(Ljungvall ほか、2014 年、学術誌『Journal of Feline Medicine and Surgery』)。
- 健康な猫の眠っているときの呼吸数は、平均すると1分間に30回未満で、中央値は21回ほど
- 同じ猫の呼吸数は、日によってあまり変わらない
- 眠っているときの呼吸数が平均で30回を超える猫や、30回を超えることが何度もある猫は、詳しく調べたほうがよい
数え方は、猫がぐっすり眠っているときに、胸やお腹がふくらんでしぼむのを1回として1分間数えるだけ。元気なうちに何回か数えておくと、「いつもと違う」に気づきやすくなります。
息が上がる前に:上手な遊びの切り上げ方
猫が口を開けるほど息を上げるのは、多くの場合「楽しすぎてやめられない」状態です。遊び方を少し変えるだけで、猫は満足しつつ、息が上がる前に切り上げられます。
1回は短く、回数で満たす
International Cat Care は、解説「猫と遊ぶ」で、猫は遊びではマラソン選手ではなく短距離走者で、1分間夢中で動けば十分な成果だとしています。長く続けて疲れさせるより、短い遊びを1日に何回かに分けるほうが猫の性質に合っています。1日の遊び時間の目安は「室内猫の運動不足、どう解消する?」にまとめています。
狩りの流れで遊んで、「捕まえて」終わる
同じ解説は、遊びの中に探す・忍び寄る・追う・飛びかかる・捕まえる・いじるという狩りの流れを入れることを勧めています。ずっと走らせ続けるのではなく、
- 物陰からおもちゃをちらっと見せて、じっと狙う時間をつくる
- 短くダッシュさせる
- 止めたり隠したりして、また狙う時間に戻す
- 最後は猫じゃらしの先を捕まえさせて、しばらくかじらせてあげる
という緩急をつけると、全力疾走が続かないので息が上がりにくくなります。International Cat Care は、捕まえる感覚のないレーザーポインターで遊んだときも、最後は猫じゃらしに切り替えて、気持ちよく終わるように勧めています。
※撮影協力:一般社団法人楽生 保護ねこカフェいちご 大宮黒猫店
こんなときは、早めに切り上げる
- 口が少し開き始めた、舌が見えた。ここが「今日はここまで」の合図です
- 動きがゆっくりになった、寝そべったまま前足だけ出す。疲れてきたサインなので、捕まえさせて終わりに
- 暑い日・暖房の効いた部屋。体の熱がこもりやすいので、いつもより短めに
- 子猫・シニア猫。International Cat Care は、シニア猫とはやさしく、動ける範囲に合わせて遊ぶよう勧めています
遊び終わったら、ごはんやおやつにつなげると、「狩りをして、食べて、休む」流れで気持ちよく落ち着けます。
おもちゃ選びでも、緩急はつけやすくなる
長い棒の猫じゃらしは、人が大きく動かさなくても獲物の動きを出せるので、「狙う→ダッシュ→捕まえる」の緩急をつけやすいおもちゃです。葉がこすれる音で誘うタイプなら、走らせなくても物陰でカサカサ鳴らすだけで、じっと狙う時間をつくれます。最後に捕まえてかじれる、綿のロープのボールのようなおもちゃを用意しておくと、遊びの締めくくりにも使えます。
猫じゃらしの選び方は「猫じゃらしの選び方」、おもちゃ全体の選び方は「猫のおもちゃの選び方 完全ガイド」で詳しく紹介しています。
まとめ
- 激しく遊んだ直後に息が速くなるのは健康な猫にもあること。ただ、口を開けたハアハアは呼吸が苦しいときのサインに挙げられる様子でもある
- ハアハアし始めたら、その場で遊びをやめて静かに休ませる。すぐに落ち着かないときは動物病院へ
- 遊んでいないのに口で息をする、休んでいても呼吸が速い・苦しそう、暑い部屋でぐったりしているときは、すぐに受診を
- 眠っているときの呼吸数(健康な猫は1分間に30回未満が目安)を、元気なうちに数えておくと安心
- 1回の遊びは短く、狩りの流れで緩急をつけて、最後は捕まえさせて終える
参考文献
- コーネル大学獣医学部 猫健康センター「Dyspnea (Difficulty Breathing)(呼吸困難)」
- コーネル大学獣医学部 猫健康センター「Hypertrophic Cardiomyopathy(肥大型心筋症)」
- コーネル大学獣医学部 猫健康センター「Feline Asthma: What You Need To Know(猫のぜんそくについて知っておきたいこと)」
- MSD/Merck獣医マニュアル 飼い主向け「Introduction to Lung and Airway Disorders of Cats(猫の肺と気道の病気・概要)」
- MSD獣医マニュアル「What to Do in a Dog or Cat Emergency(犬や猫の緊急時にすること)」
- Ljungvall I, Rishniw M, Porciello F, Häggström J, Ohad D(2014)「Sleeping and resting respiratory rates in healthy adult cats and cats with subclinical heart disease(健康な成猫と無症状の心臓病の猫の、睡眠時・安静時の呼吸数)」Journal of Feline Medicine and Surgery 16(4):281–290
- International Cat Care「Playing with your cat(猫と遊ぶ)」
よくある質問
猫が遊んだあとに口を開けてハアハアするのは大丈夫ですか?
激しく動いた直後に呼吸が速くなること自体は、健康な猫でも見られます。ただ、口を開けたハアハアは呼吸が苦しいときのサインに挙げられる様子でもあるので、ハアハアし始めたら遊びをやめて休ませましょう。休ませてもすぐに落ち着かない、何度も繰り返す、ぐったりしているときは、早めに動物病院に相談してください。
遊んでいないのに猫が口呼吸をしています。
運動や暑さなどのきっかけがないのに口を開けて呼吸している、苦しそうにしているときは、呼吸が苦しいサインのことがあります。コーネル大学猫健康センターは、呼吸に少しでも不安があればすぐに獣医師に診てもらうよう呼びかけています。様子を見ずに、動物病院に連絡してください。
猫と遊ぶのは何分くらいがいいですか?
英国の猫の福祉団体 International Cat Care は、猫は遊びでは「短距離走者」で、1分間夢中で動けば十分な成果だとしています。長く続けるより、短い遊びを1日に何回かに分けるのがおすすめです。1日の遊び時間の目安は、当サイトの運動不足の記事でもまとめています。
猫の呼吸数はどうやって数えますか?
猫がぐっすり眠っているときに、胸やお腹がふくらんでしぼむのを1回として、1分間数えます。健康な猫の眠っているときの呼吸数は、研究では1分間に30回未満(中央値は21回ほど)でした。30回を超えることが続くときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
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